実家を片付ける
母が亡くなって3か月余り。先日、母の遺したものの片付けに実家に行ってきた。
「すごいよ!」と妹から事前のメール。もちろんわかってはいたけれど。
母の名誉のために言えば、いわゆる「汚部屋」とかそんなものでは決してない。ただ、ものが多いのだ。お洒落で着道楽だったので、洋服も和服も。料理好きで食器にも凝るので大量の食器。食にまめだったので、さまざまな保存食。元気なころは父の事務所の経理もしていたのでその書類。教会関係の資料や本。昔教えていたお茶のお道具。
築70年以上?の古い日本家屋には、どの部屋にも一間半以上の押入れが天袋付きであるから、収納場所たっぷり。おまけに整理するためにどんどん収納ケースを増やしているから、もう本当に山のようである。「断捨離」とは対極にある。
まずは洋服類から手をつけることにして、洋服ダンス、2階の納戸(となっているが、昔は私の部屋だった…)からまとめて持ってきては分類をした。お譲りするもの、寄付にまわすもの、ウエス材料として福祉作業所にお送りするもの、ごみとするもの、とりあえず分けるだけだが、なかなかの作業量である。結局全部は終わらなかった。
続きは次回に回し、次は食品庫の整理。大量のタッパー。ひとつひとつラベルを貼って仕分けしてある。缶詰、乾物などまだ食べられるものは妹と山分け。そうでないものはごみ袋へ。私が以前に送ったレトルトスープなど結構残っていて少し悲しかった。こんなものでも食べられなかったのだなあ。
ところで、母が食品保存に使っていたのは、正真正銘の「タッパーウェア」である。高いのに。友人で斡旋している人がいてそこから買ったようだ。(「タッパーウエア」は店頭販売をしていない。言ってみればA**ayみたいなものだ)妹と「今はスーパーや百均のものでも密封度はかわんないよねえ(もったいない)」などと余計なことを言いながら仕分けした。母は姉御肌というかなんといったらいいのか、頼まれるとある程度は引き受けてしまっていた。食品ではないが、整理したなかに大量のSK-Ⅱ(化粧品)が出てきた。未開封で使用期限もずいぶん先である。これも友人で販売しているひとがいたとのことで、妹が交渉して卸価格で引き取ってもらった。そのほかにもかなり最近(入院の直前)通販で買った別の基礎化粧品の1セットがあり、これはそっくり私がいただいた。同じような化粧品がいくつもあったというのは、注文したことを忘れてしまっていたのではないかと妹と話し、なんとも言えない気持ちになった。
体がきかなくなってからは通信販売での買い物が母の楽しみだったようだ。以前はファックスでの申し込みをしていたらしいが、最近はそれもなかなかできず、3月に私が行った時には、三越の通販カタログを見て「この色とこの色、どっちが似合うかしら」などと私にきいてきた。「代わりに頼んでちょうだい」と言うので、私の名前でネット注文し、母に届くようにした。最後までお洒落が好きなひとだった。
まあ、それにしても大量のもの、モノ、物!
父は何もできないし、弟はあてにならないので妹とふたりコツコツ片付けていくしかない。また今月も新幹線に乗って行ってくる。戦利品はあるかな(って、おい)。
4年前、初めて母と妹と3人で旅行した台北。後ろ姿。背中が丸くなっている。
私にとってはほぼ最初で最後の母との旅だった。